夢を見ている。はっきりとその自覚がある。
たしか、こういうのを明晰夢というのだっただろうか。
そこは薄暗い洞窟のような場所だった。
水音がかすかに聞こえる。洞窟の奥は薄明りが見える。
聞き耳
奥へと進めば、そこにはうつくしい少女がいた。
洞窟の中には似合わない畳が敷かれたスペースに、着物を着た美しい少女が座っている。
「こんばんは。待っていました。」
微笑んだ彼女は、眠る前に鏡の中に現れた少女と同じ顔をしていた。
成功
少女の声で鼻歌のようなものが奥から聞こえてくる。
失敗
鼻歌のようなものが
どこからか聞こえてくる。

周りを見渡す。
畳の上には簡易的な棚と低い机、布団が奥に敷かれており、生活スペースのようになっているようだった。
洞窟の壁にはろうそくが置かれており、それらの淡い光がこの空間を照らしている。
そして、棚の上にはあなたが骨董品店で買ったものと同じ鏡が置かれている。
目星 or アイデア
失敗
何か違和感を覚えるが、
その正体が何かはわからない。
成功
自分が買った鏡よりも
ずいぶん綺麗で新しいように見える。
少女をよく見る。
目の前の少女は綺麗な着物を着ており、整った目鼻立ちをしている。
誰が見ても美人だと答えるような顔立ちだ。
年齢は14、5歳くらいだろうか?
けれど、歳には似合わない大人びた顔つきをしている。
少女の名前を聞く。
「私の名前?名前は無いわ。必要ないもの。」
「名前というのは、記号でしょう?人と区別するためにあるものでしょう?私は誰かと区別する必要なんてないから、名前はいらないの。だから好きに呼んで。」
「あぁ、そういうあなたの名前は?」
その質問に名前を名乗るのであれば、彼女は「そう、いい名前ね。」と小さく笑う。
名乗らなくとも、「教えてくれないの?まぁ、いいけれど」と特に気にする様子もなく微笑む。
ここはどこか訊ねる。
「私の家。というのは少し違うかしら?まぁ、私の生活する場所。」
「洞窟の外には村があるの。私は出たことないからどんな場所か知らないけれど。」
「ここは生贄を育てる場所なのよ。神様が望むのは美しくて穢れのない子供だから。」
彼女の言葉をそのまま受け取るのであれば、ここで過ごしている彼女は生贄なのだろう。
しかし、彼女からは悲嘆も諦観も感じない。
生贄とは?
「生贄?あぁ、神様への生贄よ。この村には豊作のための神様がいるの。」
「私も15歳の誕生日に神様に捧げられるの。だから、あと三日。」
「三日後が、私の15歳の誕生日なんだ。」
彼女からはやはり悲嘆も諦観も感じない。
あなたがもし生贄になるなんておかしいことだと言ったとしても、
「それが私の当り前だもの。」とだけ言って微笑む。
生贄となることをただ当たり前のことのように話す彼女を、どこか不気味だとさえ思うだろう。SANc(1/1d2)
待っていたとはどういうことか聞く
「あぁ、あの鏡にあなたが現れたから。」
そういって彼女は棚の上にある鏡を指さす。
「あの鏡はね、この洞窟の奥に落ちてたものなの。磨いたら綺麗になったから、置いているんだけれど、昨日あなたが映ったの。」
「見間違いかと思ったけど、今あなたが来た。」
「だから、待っていたの。」
今までの大人びた顔つきとは違って、少し幼い表情で彼女は微笑んだ。
もう何も聞かない
「ねぇ、あなたの話を聞かせてよ。」
「あなたの好きなものは何?この洞窟の外はどんな場所?どんなものがあるの?」
そう聞いてくる彼女は、今までとは打って変わって幼く見える。
いや、これが彼女の本来の年相応な表情なのだろう。
あなたがそれらの質問に答えるのであれば、「どんな味?」「どんな色?」「どんな場所?」と
興味津々という風に聞いてくる。
もし答えずに会話を拒否するのであれば、ここに来て初めて悲しそうな表情を見せるだろう。
しばらく話したところで、あなたは意識が遠のいていくのを感じる。
「おやすみなさい。また明日。」
そんな彼女の声を最後に、あなたは意識を手放した。
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