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間違ってない。
あなたがそう答えれば、彼女はほっとしたような、けれどどこかさみし気な目で笑う。
「そうよね。うん。間違ってないわよね。」
「ごめんなさい。変なこと聞いてしまって。」
「でもこれで明日、ちゃんと役割が果たせそうな気がする。」
「ありがとう。」
そんな彼女の声を最後に、あなたは今日も意識を手放した。
あなたは目を覚ます。
目を覚まして、ふと気づく。
今日見た夢はどんなものだっただろうか?
それだけでない。昨日も、一昨日も、なにか妙にリアルな夢を見たことは覚えているのに、その内容が思い出せない。
どんな、夢を、見ていたんだったか。
ふと、鏡の方を見る。
しかし、いつもの場所に鏡はない。
なぜ?
そう思いながら、立ち上がって、そうして、自分は何を考えていたのだったかと思う。
今、何をしようとしたんだったか。
寝ぼけているのだろうか?
あなたは顔でも洗おうと部屋を出る。
そうしていつもの日常に帰っていく。
鏡のことも、彼女のこともすべて忘れて。
END1
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